NEW ALBUM BBHFI YOUNG MAN GOES SOUTH

2020.09.02 -wed- RELEASE

LYRICS

LINER NOTES

新しいアルバムの在り方。新しいバンドミュージックの在り方。

 2020年代に入って、アートやカルチャーだけでなく、あらゆる分野でこれまでの価値観がリセットされている。
いや、本当はもう何年も前から世界的にはリセットもリスタートも始まっていたのだが、それがCOVID-19(新型コロナウイルス)のような世界史の最も新しいページに刻まれる重大な出来事が起こったことによって、いよいよこの国でも露になってきたと言った方がいいだろうか。

BBHFもまた、2010年代後半に一つの大きなリセットを経て、新たなスタートをきったバンドだ。Bird Bear Hare and Fish名義で彼らが最初の作品をリリースしたのは2018年。
その年の9月にはファーストアルバム『Moon Boots』をリリース。
2019年には正式にバンド名をBBHFに改め、レーベルを移籍。
本作は彼らのフルアルバムとしては2作目の作品となるが、『BBHF1』というタイトルが示しているように、2020年9月というこのタイミングにもう一度姿勢を整えて、思いっきり地面を蹴って、走り出した作品となる。

BBHFの『BBHF1』は、二つの形式を再定義する作品だ。
一つは、ストリーミングサービスが主流となった時代における、「アルバム」という形式。
「DISC 1」と「DISC 2」ではなく「上」と「下」と名付けられたフィジカルでは2枚組の本作は、小説の形式をイメージしたものだという。
『BBHF1』とアルバムタイトルの末尾に「1」とナンバリングされているのは、長編小説の第1巻の上巻と下巻ということだろうか。
「今の時代、音楽はアルバム単位ではなく楽曲単位で聴かれるようになった」というのはただの通説に過ぎず、通説というものは常に疑ってかかるべきだが(そうした言説で抜け落ちているのは「誰の音楽か?」ということだ)、それにしても今どきは珍しい重厚長大なコンセプト・アルバムと言っていい。
近年、海外では20曲以上収録されたアルバムも珍しくないが、それはストリーミングの再生回数を稼ぐためのもの。
本作に収録された17曲は、プレイリスト的にとりあえず曲を並べてみたようなものではなく、「流氷」から「太陽」へ、寒い場所から暖かい場所へ、北から南へ、というアルバム全体のストーリーを描いたもの。
「上」の結となる「南下する青年」にいたっては、アンビエント風のトラックと環境音にのせて文字通り「ストーリー」が朗読される。

『BBHF1』が再定義するもう一つの形式は、バンドミュージックだ。
BBHFのメンバーはその前身となるバンド、Galileo Galileiの活動中期から、同時代、同世代のバンドの中では際立って現代のバンドミュージックの在り方に対して意識的なミュージシャンたちだった。
当時、彼らは作品ごとにエレクトロニック・サウンドを大幅に導入してみせたり、また生のバンドサウンドに揺れ戻ったりと試行錯誤を続けてきたが、本作『BBHF1』ではそのサウンド面において一つの答えを提示してみせる。
「流氷」で刻まれるビートの強烈な残響、続く「月の靴」における空間を漂うコーラス処理、「Siva」のイントロのレトロフューチャーなシンセ・サウンド。
作品の冒頭から、本作を規定する音響面におけるシグネチャーが次から次へと示され、それらが「上」「下」を通じてアルバム全編にわたって要所要所で効果的に用いられている。
彼らはバンドミュージックという足場から離れることなく、ボン・イヴェールやフランシスといった同時代のアーティストの作品とも呼応しながら、新しい時代のバンドミュージックを獲得するために様々な実験と実践をおこなっている。
その取り組みは、例えば現在(バンドとしてはもう4年間作品をリリースしてないが)のレディオヘッドに近いと言えるかもしれない。

それに加えて、本作で強く印象に残るのは、その自己言及的で直裁的なリリックの数々だ。
自己言及的というと、バンドのメインソングライターに紐づけられがちだが、本作における主語の多くはあくまでも「バンド」であるのがユニークなところ。
BBHFはサウンド面においてだけでなく、そのナラティブ(語り口)においてもバンドミュージックの新しい形を提示してみせている。
2010年代以降、海外のポップミュージックはラップミュージックから大きな影響を受けて、比喩(仄めかし)から直喩(具体性)へとリリック面においてもすっかり生まれ変わったが、『BBHF1』のリリックの数々に息づいているのもそのような精神なのかもしれない。

「答え合わせの時間もなく、挨拶みたいに飛び交う複雑な問いに、俺たちは曖昧で幼稚な答えを出してきた」

「南下する青年」の朗読の中で、彼らは過去を振り返ってそんな吐露をしている。
しかし、もう本作にはそんな「曖昧さ」や「幼稚さ」の痕跡も残っていない。
2020年代における新しいアルバムの在り方。2020年代における新しいバンドミュージックの在り方。
曖昧さと決別し、成熟を果たしたBBHFは、本作『BBHF1』でそんな航海に乗り出した。

映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正

COMMENT

MUSIC VIDEO


RELEASE

2nd Full ALBUM

BBHF1 - 南下する青年 -

2020.09.02 -wed- RELEASE

初回限定盤:CD2枚組+DVD
BNCD-0006 ¥4,000+tax
通常盤:CD2枚組
BNCD-0007 ¥3,200+tax

初回限定盤 DVD

2019.12.16 FAM!FAM!FAM!
Tour LIQUIDROOM LIVE

  • 1. Mirror Mirror (Instrumental)
  • 2. リビドー
  • 3. だいすき
  • 4. 友達へ
  • 5. バック
  • 6. Torch
  • 7. Mirror Mirror
  • 8. なにもしらない
  • 9. あこがれ
  • 10. シンプル
  • 11. 涙の階段

店舗特典

  • 南下する青年

    BBHF1 -南下する青年- “Recording Documentary” DVD

  • 南下する青年

    ジャケットステッカー

  • 南下する青年

    「僕らの生活」Music Video (DVD-R)

LIVE

BBHF LIVE STREAMING
-YOUNG MAN GOES SOUTH-

2020.10.25(sun)
OPEN 19:30 / START 20:00

アーカイブ視聴期間
10.28(wed) 23:59まで
一般販売
9.16(wed) 10:00 〜 10.28(wed) 21:00
料金
¥3,000+tax

MEDIA

SPECIAL

PROFILE

2016 年武道館公演を最後に活動を終了したGalileo Galilei。そのメンバーを軸に新たに結成された尾崎雄貴(Vo,G)、尾崎和樹(Dr)、佐孝仁司(B)、DAIKI(G)からなる4人組バンドBird Bear Hare and Fish。鳥と熊と野うさぎと魚という4匹の動物たちは、メンバーそれぞれのモチーフとして当てはめられている。メンバー全員が北海道出身、札幌に拠点を置いて活動している。
2019年7月1日より、バンド名の正式な呼称をBird Bear Hare and Fishから、BBHF(ビービーエイチエフ)へと変更。
同日7月1日に配信限定EP ”Mirror Mirror”をゲリラRelease。
各所で話題になりiTunesのオルタナティブチャートで1位を獲得。
7月2日に渋谷hotel koeで行われたゲリラLIVEに会場に入れないほど人が押し寄せた。 その後ONE MAN TOUR “Mirror Mirror”では、ファイナルの赤坂 BLITZ 公演も早々に SOLD OUT。
そんな中2nd EP ”Family”がリリースされ、11 月から全国10カ所を廻るBBHF ONE MAN TOUR ”FAM!FAM!FAM!”を開催。 2020年5月配信限定シングル”かけあがって”をRelease。